キューライス。

1985年生まれの男。漫画、イラスト、アニメーションなどを描きます。ご質問、ご依頼はこちらのアドレスにどうぞqraisqrais@gmail.com。       キューライス制作の短編アニメーション「鴨が好き」公開中https://www.youtube.com/watch?v=48-RA4BNXVc

「ウサギと行く4泊5日広島旅行~2日目「鹿糞ウサギと高閉所恐怖男の汗、厳島添え」後編~」

 

幸い空いていたので4人乗りのロープウェーをウサギと二人きりで乗ることができた。乗り場にはロープウェーの窓の位置に合わせて簡易クーラーが設置されていて涙が出るほど嬉しかった。そして、ロープウェー特有の不安定な揺れを醸し出しながら出発する。

f:id:q-rais:20160903114304j:plain

眼下には豊かな緑、瀬戸内海の美しい風景が映し出される、しかし、ちょうどロープウェーが道のり半ばまで来たところで、自分が閉所と高所恐怖症であることを思い出し、「ああ、私はロープウェーに乗ってはいけない人間なのだ」と思い知る(そういえば観覧車も乗れない)。こうなってくると風景を楽しむ余裕なんて微塵もない。

「時間よ早く過ぎてくれ!」と心の中で叫びながら平静を装う。「ピーターパン」の「ユー・キャン・フライ」を口ずさむウサギさえ憎らしい。

f:id:q-rais:20160903114525j:plain

そのあと、乗り換えを経てなんとか獅子岩駅に到着。

ここからさらに山道を徒歩で30分登り山頂を目指すのだ。「もう、ここでも十分絶景だよ?」と何度も足を止めるウサギを無視して黙々と登り続けていると、ヘリの爆音が近づいてきた。

弥山山頂の展望台に到着すると、どうやら急病人が出たようで救急隊員がホバリングしたヘリから降りてきて、病人を担架に乗せるとそのままヘリで引き上げていった。

病人の方には大変失礼な話だが、ホバリングするヘリの巻き上げる砂埃というものを生まれて初めて経験できてとても感慨深かった。

f:id:q-rais:20160903114729j:plain

何より、危険な仕事に従事する救急隊員の方の真摯な姿が素敵だった。苦労して登った弥山の絶景も、ヘリの救助活動の印象に完全に負けてしまい、私の弥山の思い出はほぼ「ヘリ」となった(もちろん景色も素晴らしかったのだが)。

 

その後、あの苦行のようなロープウェーに再び乗り込み、弥山を下山。

時刻は13時、空腹を覚えた私とウサギは近くの食堂で昼食をとることにした。二人で広島名物カキフライ定食を食べる。

極限の疲労と空腹によって味付けされた瀬戸内海の牡蠣はサングラスが割れるほど美味かった。カレーでもないのにご飯に福神漬けが添えられていたが、それが広島流なのだろうか。

f:id:q-rais:20160903114927j:plain

 まだ時間があったので宮島水族館・みやじマリンを訪れる。

さっき食べたばかりの牡蠣が養殖されている様子や、スナメリが水槽を行ったり来たりする様子、ナンヨウハギを「ドリーだ!」などと歓喜しながら指差す子供たちなどを観察した。

遠い目をした飼育員のおじさんに手渡される魚を頬張るカワウソが可愛いかった。

 

f:id:q-rais:20160903115037j:plain

再び厳島神社前へ行くと潮が引いていて大鳥居まで歩いて行けた。

通りかかった方にお願いして珍しく自分とウサギの写真を撮ってもらった。

私はピースはしない主義。しかし、撮ってもらった写真を見てみるとこんな感じになっていて、ウサギが憤慨していた。

f:id:q-rais:20160903115133j:plain

どうやら通りすがりのおじさんはウサギのことをそこかしこに居る野生の鹿の類と同じものだと思われてしまったようだ。

海岸線をとぼとぼ歩くウサギは皮を剥かれた因幡の白兎のように痛々しかった。